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この世で一番ほしいプレゼント‬番外編 運命の人

Author: 相沢蒼依
last update Last Updated: 2025-11-03 06:09:00

チューリップの赤い色を思わせる赤髪の下にある緑色の瞳は、屋敷の裏にある森の木々を水面に映した湖の色だった。

「アンドレア様はじめまして! 私はカール・ドゥ・イタッセと申します。どうぞ仲良くしてくださいね」

透明感のある緑色の瞳に見つめられて、妙にドギマギした。表現のできないその感情を持て余した結果――。

「おまえ男のクセに、下まつげが長くて、気持ち悪いヤツだな」

挨拶をすっ飛ばして、目についた事実を突きつけた俺を、カールは苦笑いを浮かべてやり過ごしたんだ。

カールにはじめて逢ったのは、俺が10歳のとき。それまでは母上が一番だった。だけど妹が産まれてからは、母上は俺に構う余裕がなくなり、寂しくなった俺は、なんとかして母上に構ってもらおうと、いたずらばかりしてしまった。

そんな俺を見た父上が、次期当主にふさわしい男にするために家庭教師を雇い、厳しい教育をほどこした。

母上に甘えたい気持ちを我慢しながら、勉強ばかりの毎日は、ものすごくつまらなくて退屈だった。それゆえに隙を見ては逃げ出して隠れたり、家庭教師にいたずらして、散々困らせた。そのせいで一週間ももたずに、家庭教師は次々と辞めていった。

そんな俺を制御しようと考えた父上は、年の近いカールを連れて来た。

(どうせコイツも俺の仕掛けるいたずらに困って、さっさと逃げ出すに違いない)

不機嫌をそのままに、カールを見上げていたら。

「私の下まつげが長いのは、父譲りなんです」

「おまえの父親と同じなのか……」

てっきり母親に似ているのだと思っていただけに、意外な返答に目を瞬かせた。

「あのさ、おまえ――」

「カールとお呼びください、アンドレア様」

「カール、俺の部屋に案内してやる」

辞めていった家庭教師たちと同じように、親しげに接するカールと生活を共にした。

はじめて逢ったときに感じた、胸の疼きの理由がわからないまま、たくさん困らせることをカールにする。隙を見て勉強を投げ出すのはデフォルトで、かくれんぼをしたときは、屋敷にある一番背の高い木に登ってやった。

使用人たちが怖気付く中、カールは命綱をつけて俺を捕獲し、無事に地面にたどり着くや否や、腰を抜かしたんだ。

「おい、どうした?」

「高所恐怖症を思い出したら、力が抜けてしまいました……」

下まつげを涙で濡らし、今にも号泣しそうな雰囲気を醸すカールに、
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